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最近のいろいろを思い出しながら
点滴のベッドでの時間をやりすごす
元気そうな老人と死にそうな老人のおしゃべりとため息
こんな私にもきちんと親切な看護婦の行きかう足音
移植の中継を垂れ流すロビーのテレビ
カーテン越しに聞こえるのはそんな音
Mさんは2つお姉さんで飲み仲間だったの
いつも死にたいって口癖だと思ってたからまさか
独りで本当にやるもんだから1週間も見つからなかった
葬式も行ったけどなんか実感なくて
でも意味ないから携帯のメモリーはこの間消した
リアルな夢で、起きても本当のことだと思っちゃって
友達に電話であやまったんだよ
してもいないケンカであやまられて困ってた
でも悲しくて寂しくて目が覚めてずっと落ち込んじゃって
夢と現実の区別がつかなくなるなんてどうかしてる
あたしのこと嫌いなのはしょうがないよね
でもあたしはそう思ってなかったからとんだ茶番だ
仲良くしてもらいたくて顔見る度に話しかけてたんだけど
ほんと嫌われてるなんて思わなかったんだよ
パクリでいいんだから安くあげてって言われてさ
でも引き受けちゃったんだ、あの仕事
最後の一言でそういわれてさ
その時点で、それならやれないって言えなかった
そんなの自分の仕事っていいたくないよ
ものすごくよく似た筆跡の宛名だったから焦った
封筒裏返してダイレクトメールでがっかりした
手紙なんかもらえるわけないんだ
もう2度と会うことができないほど
傷つけて別れた友達だもの
だからほんと悲しくて何度も封筒見直したよ
本当にそっくりの字だったんだ
そのどれもが悲しい出来事で
そして 誰も聞いてくれない独り言だったから
点滴のしずくのように切れ間なく
涙が流れて止まらなかった
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