up data 1997.9.22

妄想下の記憶
 

脱いだシャツについた小さな赤い染みが夕べのだと気付くまで
あの騒ぎはまるで夢を見ていたように思った。

朝、もうろうとした意識の中車を飛ばして仕事に行き
なんとか一日をやり過ごした。
夕方、明日が休みでよかったと疲れた体をカウンターにうずめて
最近知り合った人との迷いごとを思いながらビールを飲んだ。

ここ数日の私は何をしているのだろう。
全ては自分の意思と別な力で動いているみたいに。

明日が休みでよかった

 もう何もしたくない
 神経を抜いてくれないか
 そしたらきっとうまく
 寝返りも打てるだろう

昔聞いていた歌が流れて

 どこまで行けば
 どこまで行けば

ゆっくりと、そして確実に
神経を、手探りで
ゴムみたいかなぁ
ピンみたいかなぁ
細く集まって一本の糸のような
それとも錆び付いた古い時計のねじのような
私の動きが止まる
私が動きを止める

たどりついた記憶もなく夜がふける

 

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Presented by
Megumi Hinokiyama
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