今でも時々電話がくる***がいる。***してからも***であることは変わらない。その子はすごく繊細で壊れやすくて、社会にでたくない、人と関わりたくないと面接でいつも泣いていた。
心配していたけど就職し、元気でいると思っていた。でも今では、アルコールが彼女の気を落ちつかせ、それが手放せなくなったころ、処方される薬を取りにいく習慣ができたらしい。そんな彼女から電話がくるのだ。
声が聞きたくなったと。
「大切な物が大切にできなくてかわいそう。みんなの大事な翼が折れちゃう」そう言って今日は、優しい彼女は他人を憂いて泣いた。それはきっとみんなに、がんばれと言っているつもりなのだろう。人に優しくしたいのだろうか。自分がボロボロなくせに。そういえば「仙人になりたい」とも言っていた。****した****を見せたら、そのライブに行きたいといってチケットをとったことがあった。なじみのバーに連れていくと、すごいペースでビールを飲み、ゆっくりと壊れていった。ガリガリに痩せた彼女は見ていて痛かった。車で送って行くあいだじゅう、運転する私の手をにぎって離そうとしない。しかも痛いくらいの力をこめて。していたシルバーのリングをはめてあげたら、お守りにするとよろこんでいた。
何がお守りだ。私は彼女を守ることなどできない。声が聞きたかったとかかってきた電話に、何も言ってやれない。どころか、彼女の話しを聞くことさえつらい。聞きたくないのだ。
人は、望んで壊れていくのだろうか。それとも気付かないところで、少しづつ気持に心が虫ばまれていくのだろうか。
私は、そっちへ行きたくないのだ。