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久しぶりにあったその人は、つきあいのあった会社の営業。
39歳。ロブスターを食べながら会社のグチを聞く。
関係がいやになり、距離をおくようになって1年。
「俺とあわなかったあいだ、誰かと寝たのか?」と聞かれた。
めんどうなので10人と答えた。
「なんでそんなにたやすく寝るんだ?」ととがめられた。
必要とされているからと答えた。
(男に抱かれているとき、私には意思がない)
その人は、執拗に相手に嫉妬すると繰り返した。
SEXは弱くなったように思えた。
早く終わりにしたくて、自分からメチャメチャに腰を振った。
「お前はなにも変わってない」と言われた。
あそこの具合も、好きだといった腰のラインも。
濡れていないのに入れてきた。なにも付けていない。
痛いというと「そう言われるとなおさらいじめたくなる」
と言われて何も言えなかった。
(男に抱かれているとき、私には意思がない)
私のお腹の上で「いいよ、すごくいいよ」と繰り返す。
私は、腕の重さでさえいやで苛立ってくる。
酒の匂いがする息が苦しくなる。
なんで良くないのにしてるんだろう。
男のセックスファンタジーの再生機。
私はきっと、穴だ。
「ありがとう、よかったよ」と言われて、
なんと返事していいか困った。
私もよ、の一言が言えなくて
そう思わなかったのだから仕方がなくて
仕方がないから嬉しかったよ、と言った
「私を思い出してくれて嬉しかったよ」
「私を抱いてくれて嬉しかったよ」
「気持ちがよくなってくれたなら、嬉しかったよ」
「ロブスターはじめて食べたから嬉しかったよ」
「嬉しかったよ」
「嬉しかったよ」
外に出たら、雨がやんでいた。
私が車で送って、4時ごろ家についた。
気がつくと、その人の傘が車に残っていた。
(穴の自分には意思がない)
また、会わなければならない。
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